株式会社フォレスト‧ドアは昨年2022年3⽉に兵庫県丹波市にて設⽴され、「森の情報発信基地」をコンセプトに、森林資源の更なる利⽤促進を⽬指した廃校利活⽤施設「FORESTDOOR -旧神楽⼩学校-」を運営されています。
林業の「株式会社森のわ」、製材‧加⼯の「株式会社栄建」、建築不動産の「株式会社⽊栄」を合わせた計4つのグループ会社が連携して事業を推進。森林資源の利活⽤を促進することで地⽅創⽣に貢献し、「⾥⼭の⾃然」と「地域経済」両軸の好循環につながる地域デザインの構築を掲げられています。
今回のインタビューでは、株式会社フォレスト‧ドア、株式会社森のわ、株式会社栄建の代表である⾜⽴社⻑と、株式会社ICS代表の岩元さん、グループ全体の⼈材育成や組織力向上などをサポートしている⻑島さんの3名で、知り合った当初に抱えていたお悩みや、これまでの取り組みについてお伺いしました。
ーまず初めに、どのような経緯で岩元さんと出会われて、当時どういった印象を持たれたのかお伺いできますでしょうか。
足立:もともとは幹部人材の不足等を相談しました。過去、何年も⾃分達なりに色々な募集方法を考えてきたのですが、全く集まらなくて困っていました。当時、お付き合いしていたデザイン会社から、アドバイザーとして岩元さんを派遣・紹介頂き、相談させて頂いたことがスタートでした。最初の印象としては、結構営業っぽい感じの⼈だなという印象でした(笑)
ーそうだったんですね。出会われた最初の頃のやりとりなど、何か印象に残っていることはありますか?
足立:当初から、かなり濃くてタフな状況や時間を一緒に過ごしてきたので、最初の頃はほとんど覚えていないのですが(笑)。初めてお会いした頃、自分自身の中ではビジョンや取り組んでいきたい事業そのものは、創業した頃からブレていないし、間違っていないと確信しているんですが、どうしても上手く進められないことに対して、ストレスを感じていました。採用や育成に課題があるとわかっていたのですが、実際に面接をすると、元々の性格もあるのか、お会いする方は全員良く⾒えてしまうなど、人に対して⽢いところがあることを自覚していました。一方で岩元さんは人を見る際に良い意味で厳しさも持ち合わせていて、自分では気づかない点も指摘してくれるので、その部分について頼りにしていました。
ー客観的に、そして時には厳しく⾒てくれることに対して、ありがたさを感じられていたんですね。その後、岩元さんが派遣元のデザイン会社を離れても、引き続きサポート役をご依頼いただいた理由は何故だったんでしょうか?
足立:岩元さんにアドバイザーとして出入りしてもらった当初、色々と⼤変だった時期がありまして、今振り返ると、その件に対して⼀緒に課題を解決したプロセスも大きかったと思います。
岩元:実は最初の頃に採⽤活動の支援をさせて頂いた方々がお辞めになられたんですね。その時は支援した責任もあるため、一人目が退職したいと申し出があった当日に訪問、ご本人との面談を実施するなど諸々の対応をさせていただいたり、他にもサポートが必要な幹部人材については、マネジメントの一部を担う形で、個別面談やミーティング等をさせて頂きました。明らかにマイナスの話になりますので、本当に申し訳ないというか心苦しかったのですが、大変な状況から逃げ出さずに、一歩二歩踏み込み、其々の方々と向き合ったプロセスは⼤きかったのかも知れません。
足立:それまでは各種専⾨家やアドバイザーの⽅とは、そこまでがっつりと関わることはなかったんですけど、当時の大変な状況を抜け出したいという切実な思いや、岩元さんのレスポンスの早さや対応する姿勢なども目の当たりにして、外部からのサポートも⼤切であることを感じました。
ーなるほど。採⽤した⼈が辞めるというのは、どうしても起こり得ることではあると思うのですが、実際問題が起こった時にすぐに向き合ってくれたことが⼤きかったのですね。
ー最初は採⽤活動から始まったと思うのですが、その後、具体的にどのようなことをお願いされていたのでしょうか。
足立:これは今もそうなんですけど、経営していく中で発生する悩みや課題について相談させてもらっています。いわゆるメンター的なものだと思います。定期的ではないのですが、次々と問題が起こるので、何かあれば相談している感じになっています。
岩元:その都度、お話はさせていただいています。一年に数回は、じっくりと⼆⼈で直接お話をする機会があるという感じですね。あとは社⻑が本当にしんどそうな時とか、多分ちょっと話した⽅がいいかなという時にお時間をいただいていて、メンター的な役割はしているかなと思います。
ーその後、長島さんが加わることになったと伺っていますが、それはどのようなきっかけだったのでしょうか?
岩元:FORESTグループの中核会社である株式会社木栄を足立社長が引き継ぐ時期が概ね決まったことや、新規事業として「FOREST DOOR」をスタートするために準備が重なったことで、これから明らかに⼤変になってくる、という相談を受けました。なんとかサポートしたいと思いながらも一人では難しいと考え、私から⻑島さんにお声がけをしました。本格的に参加いただいたのは2021年の12⽉ごろで、ちょうど1年半くらいになりますね。
長島:最初は栄建(グループ会社)の⽅で、直近に⼊社した⽅たちの定着や、パフォーマンスを発揮してもらうことをテーマとしてサポートを開始しました。当初は状況を全て把握しているわけではないので、岩元さんとコミュニケーションを密に取り、色々と相談しながら進めていました。早く全体の状況を把握するために、社員の皆さん全員とも⾯談させていただいて、どんなことを考えているのか、何を課題に思っているのかということを把握することからスタートしました。其々の方が感じている課題について、もっと会社や組織を良くしていくためにはどうすればいいのか等、兎に角、たくさんコミュニケーションを取らせて頂きました。
足立:今は落ち着きましたが、当時は⼈の⼊れ替わりがあったり、フレックスタイム制や自宅からのリモートワーク勤務の導入など、様々な変化が起こっていました。今までとは違うことについても、私はすぐに実施したいと思ってしまうのですが、状況をみながら適切なタイミングや進め方などのアドバイスを頂いたりしています。
長島:そうですね。一つ事例として挙げさせて頂きますと、私がサポートを開始して半年経過したタイミングに、「FOREST DOOR」の10⽉のプレオープンに向けて準備を進めないといけないシーンがありました。グループ全体を巻き込んでの大がかりなプロジェクトですが、その時は沢山のタスクも抱えている状況でした。当時は対応人数が不足していたことや、各種プロジェクトを誰がどのように進めるのかが分からず、皆さん混乱していました。
本業とは違い慣れていないことが多かったため、会議進行や議事録の作成など、裏方としての役割もやらせていただきました。
岩元:もともと私が長島さんに頼んでいたのが「実際はグループ外にはいるけど、グループ内にいる総務・人事部長のように業務を推進してほしい」ということでした。
ーなるほど、かなり中に入り込み、幅広い業務にあたっているのですね。会議にも参加されたりと、まさしく「グループの中の人」のような働きをされていたと思うのですが、社員の方々に何か変化を感じたりしていますか?
足立:私も父親と同じく、早くに起業し、ゴールが明確だったため、自分で考えて行動することが当たり前だと思っていました。しかし、自分自身とスタッフの認識には大きな乖離があったことを理解でき、長島さんにはそのギャップを徐々に埋めていってもらいました。私が伝えることを、その時点ではすぐに理解できなくても、後で噛み砕いて分かりやすく説明してくれるので、今までよりも意思疎通が明確になり、社員たちのストレスは減ったのではないかと思います。
岩元:長島さんは間を繋ぐコミュニケーションと、コンセンサスを取るということをかなり意識されていると思います。会議では漠然とした流れになったり、決められないまま終了したりすると、社長からは「伝えたつもりだったのに」という話になり、一方でメンバーからは「やりたいのは分かったけど誰が担当するの?」という状態になってしまいます。それを避けるために、長島さんは細心の注意を払い、一つひとつの事柄を決定していると感じます。
長島:最近は、やるべきことややらないことについての認識の齟齬はかなり減っていると思います。社長が会社やグループをどう進めたいかを伝えることはあるものの、その想いがメンバーに十分に伝わっておらず、アクションに具体的に落とし込まれないことが課題でした。
なので、社長の考えをより明確に伝えられるように努めつつ、なぜそれを行うのか、いつまでに行うのか、といった具体的な点をかなり意識して取り組んでいます。
また、いわゆる次世代を担うコア人材を育てていくことも重要だと思うんですね。各社において、徐々にコアな人材が育っていくことで、社長がまた新しいアイデアを実行する際にも円滑に進めることができるんじゃないかという気がします。
社長の思いや考えを全社員に直接伝えることもできないですし、立場上言えないところもあるので、その補完をする役割を果たせればと思っています。
ーありがとうございます。最初は採用のお悩みから始まり、長島さんをはじめその後も多くのICSのメンバーが参加されていったと伺っています。何でも相談できて色んな領域に対応できるのがICSの特徴だと思いますが、改めてICSのチームとして価値を感じていることはございますか?
足立:ICSさんは様々な業種や職種の専門家からチームになっていますが、新しい課題に対してプロジェクトメンバーとして参加してもらう際も、最初に岩元さんや長島さんから事前説明をしてくださっているので、こちらから一から説明する必要がなく、スムーズに意思疎通できるのがありがたいです。私自身も意図を伝えるのが苦手なので、そのような二度手間がなく、相手が既に理解している状態から本題に入れることは本当に助かっています。またプロジェクトが進行していく過程においても、ICSチームの中で情報共有や連携を行ってくれているので、非常にありがたいです。
ー確かにそれぞれの業種や職種の専門家を集めようとしても、一人ひとり意図などうまく伝わっていないとチームになっても食い違いが起こったりしますよね。その部分の心配をしなくていいのはICSならではなのですね。
ー岩元さんや長島さん、他のICSのメンバーとも何年もお付き合いをされてきたと思うのですが、ご依頼された当時の状況と今の状況を比べて、社長のお気持ちや社員の方々の状況など、何か変化は感じられているでしょうか?
足立:これまで私にもメンター的な存在が不在だったため、主に妻と相談しながら、一緒に事業を進めてきました。その中で、やっぱりお互いに言いにくいことも多くあったのだと思いますが、現在は長島さん、岩元さんに相談できることで助かっていると実感しています。また先日、グループ全体のミッション・ビジョン・バリューを策定しましたが、ビジョンが明確になっていくことで、自分自身もグループ全体としても進むべき道がはっきりと見えてきたことは収穫だと思います。
ー経営者にとって相談相手がいるということは、事業の側面や精神面の双方で心強いですね。長島さんは参加された当初と今で何か感じた変化などありましたでしょうか?
長島:まず前提として、人や組織の変化は急激に起こるものではなく、徐々に変わっていくと思っていますが、1年ほど経った今、組織はかなり変化してきたように感じています。中途採用の狙いとして、新しいメンバーが入ることで組織の活性化が期待されますが、それが今まではうまく機能していなかった。しかし徐々に効果が現れてきて、新入社員と既存の社員がコラボレーションできるような組織に変わりつつあると感じています。
また、4社から成るグループ会社が、今まではそれぞれ個別に事業を進めていましたが、今後はグループ全体で一体となって相乗効果を高める方向へ進めていくのが重要なポイントになりますね。
以前の職場では、お客様に対しては採用に関わる仕事を長く担当してきましたが、いわゆる外部から人を採用支援するだけでした。入社した後はその会社の一員になるので、あまり私の方からコミュニケーションを取ったり教育したりすることはできませんでした。でも今の仕事をやるようになってからは、採用した人が馴染んでいき、成長に向けてフォローアップすることができるのが非常に面白いと感じます。
「FOREST DOOR」はまだ立ち上がったばかりですが、これからもっと成長する可能性があると思っています。事業が成功することで皆喜びを感じられますし、その結果、新しいメンバーや既存の社員全員が幸せになって、良い循環が生まれていくことを目指しています。
組織が良い方向に向かって成長していくお手伝いができることは、最高に面白いと感じています。これは外部クライアントに採用支援だけをしていたときには感じられなかった喜びですね。
ー最後の質問となりますが、もし他の方に岩元さんやICSを紹介するとしたら、どんな方に紹介されますでしょうか?
足立:「現状維持でいい」と思っている経営者ではなく、「成長したい」と思っている経営者だと思います。実現したいことはあるんだけど、なかなか実現できていないという経営者にはおすすめだと思います。ただ、世の中の経営者の大多数は、お金を儲けることや現状維持で満足している人が多いと思いますので、そういう方々にはマッチしていないと思います。
岩元:良いビジョンはあるけれど、いろいろな課題があって、それにどう取り組めばいいか分からなくてもやもやしているといいますか、そういう人だったら合うかもしれませんね。
足立:そうですね、実現したいビジョンが明確だからこそ、具体的に課題が出てくるのだと思います。
岩元 真一
番頭/採用/営業戦略
長島 慎
人事/人材開発/組織開発
小濵 豊弘
採用
江口 海里
デザイン
佐藤 智美
人事/人材開発